地域格差は医療格差に繋がる
日本の医療は世界的に見ても高水準だと言われていますが、実は国内でも受けられる医療サービスに大きな差があることをご存知でしょうか。この「医療格差」は、私たちが住む場所によって左右される「地域格差」と深く結びついています。
都市部と地方の間には、医療サービスの質や量に明らかな違いがあります。大都市では、最新の医療機器を備えた大病院が多く、専門医も集中。一方、地方や離島では、病院や診療所の数が少なく、医師不足も深刻です。そのため、同じ病気でも、住んでいる場所によって受けられる治療の内容が変わってしまうのです。
救急医療の場合、都市部では救急車が到着するまでの時間が短く、高度な治療を受けられる病院にすぐに搬送されます。しかし、山間部や離島では、救急車が到着するまでに時間がかかり、適切な治療を受けられる病院まで遠いことがあります。この時間差が、時として命取りになることもあるのです。
また、専門医の不足も地方の大きな課題です。がんや心臓病などの専門的な治療が必要な場合、地方では適切な医師を見つけるのが難しく、都市部まで通院しなければならないことがあります。これは患者さんやその家族に大きな負担をかけることになります。さらに、医療費にも地域差があります。同じ治療を受けても、地域によって医療費が異なることがあるのです。これは、その地域の医療機関の数や、高齢化の進み具合、生活習慣病の罹患率などが影響しています。このような地域による医療格差は、結果として健康寿命や平均寿命にも影響を与えています。同じ日本に住んでいても、住む場所によって受けられる医療サービスに差があるというのは、大きな問題でしょう。